消化器内科(消化器センター)

消化器内科(消化器センター)

当科の特色は、内視鏡と腹部超音波を駆使して行う診断と治療です。常に最先端の検査と治療を取り入れています。例えば検査では経鼻内視鏡を取り入れています。また小腸検査に対応するためカプセル内視鏡を導入しました。治療では外来化学療法やReal-time Virtual Sonographyによる肝癌ラジオ波治療を行っています。慢性活動性肝炎、癌、潰瘍、炎症性腸疾患などの薬剤治療にも力を置いています。消化器疾患であれば急性、慢性を問わず、安心してすべてまかせていただける体制を取っています。 又、24時間365日救急に対応できる体制を取っています。

取り扱い疾患

食道、胃、小腸、大腸に至る消化管、及び肝、胆、膵等、消化器全体の諸疾患

専門外来

肝臓外来
担当医師 福永 豊和・田中 裕一
診察日時 毎週水曜日
受付方法 地域医療予約患者のみ
膵臓外来
担当医師 宮島 真治
診察日時 毎週火曜日
受付方法 地域医療予約患者のみ

医師紹介


氏名 補職名 認定資格 専門分野
福永 豊和 部長
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医・指導医・支部評議委員
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本肝臓学会肝臓専門医・指導医
  • 日本超音波学会専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
肝細胞癌治療全般
山東 剛裕 中央検査部長
  • 日本内科学会認定医
  • 総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本肝臓学会専門医・指導医
  • 日本プライマリケア連合学会認定医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本専門医機構総合診療特任指導医

消化器疾患全般
肝疾患の治療

高谷 晴夫 主任医長
  • 日本内科学会認定内科医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
消化管疾患
肝胆膵疾患
宮島 真治 主任医長
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
  • 日本消化器病学会専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本胆道学会認定指導医
  • 日本超音波医学会超音波専門医
消化器疾患全般
消化管疾患
肝胆膵疾患
田中 裕一 主任医長
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
  • 日本消化器病学会専門医・指導医
  • 日本肝臓学会専門医・指導医
消化管疾患
肝胆膵疾患
池田 智哉 副医長
千田 美紀 専攻医
毛利 陽一 応援医師 消化器全般

診療実績

令和4年度
内容 件数
腹部超音波 4,425
胃内視鏡 2,798
大腸内視鏡 1,388
ERCP 343
上部内視鏡的止血術 60
下部消化管ポリペクトミー 362
乳頭切開術(EST) 66
肝癌RFA治療 23

胃大腸内視鏡、ERCP検査について

胃内視鏡、大腸内視鏡検査、ERCP検査については十分な件数をこなしていることは重要ですが(当院では令和4年度、胃内視鏡2,798件、大腸内視鏡検査1,388件、ERCP検査343件施行しています)、それ以上に大切なのは、これからの医療はいかに安全性を確保するかということです。

内視鏡をすることによりほかの病気がうつらないか心配されている方もおられると思います。前の人に使った内視鏡で検査して大丈夫かと心配される方もおられると思います。当院ではそれに対して完全予防できる体制をとっています。

病気の早期発見や確定診断には病理検査が必要です。その時に必要になるのが生検かんしと言われる胃や大腸の組織をつまんでくる道具です。現在、生検かんしについてはまだ消毒して使っているところが多い中、当院ではいち早く、使い捨ての生検かんしを導入いたしました。すべての患者さんに新しい生検かんしを使用するため、生検かんしによる病気の伝染の危険性が全くなくなりました。

また、当院では上部消化管ビデオスコープ、大腸ビデオスコープ、十二指腸ビデオスコープを多数準備しており、一人の検査が終わるごとに、使ったスコープは時間をかけて自動洗滌機にて完全消毒しています(ビデオスコープの数が少ないと時間の関係より簡易消毒にならざる得ないからです)。これによって、ビデオスコープからの病気の伝染の心配がなくなりました。

最近、経鼻内視鏡検査が全国的に広まりつつあります。これは経口内視鏡検査に比べ楽だからです。本院でも咽頭反射が強く経口内視鏡検査がつらい人には経鼻内視鏡検査を施行しています。それにより患者様の負担を軽減するようにしています。

また、最近大腸内視鏡検査では一般的に鎮痛剤を用いて行うことが多いのですが、この場合呼吸抑制が起こることがあります。当院では血中の酸素濃度やバイタルを常にモニターしながら行い、安全性の確保につとめています。これらによって、安心して内視鏡検査を受けていただける体制を取っています。

検査してもその結果が残らなければ意味がありません。今までのように紙に残しておいたのでは、無くなってしまったり、必要なときにすぐに見れないということが起きていました。当院では専門の企業と協力し、本院に適合したソフトを完成し導入しました。これにより、すべての検査した画像とその情報を患者さんごとにコンピュータに自動的に保存できるようになっています。何年経ってもすぐにその患者さんの情報が参照でき、診療や治療の向上につなげています。また必要時には動画をDVDに保存できる体制を取っています。

カプセル内視鏡検査について

胃大腸内視鏡を行っても原因不明の消化管出血を伴う小腸疾患の診断に有力診断手技となります。今まで行ってきた小腸造影検査は十分に小腸病変を検査できませんでした。

カプセル内視鏡は幅11mm、長さ26mmのカプセル型の内視鏡です。飲み込まれたカプセル内視鏡は消化管を通りながら小腸の写真を撮影します。撮影された画像は、腰に取り付けたデータレコーダに保存されます。カプセル内視鏡は使い捨てタイプで、排便時に自然に排出されます。これにより小腸検査を楽に受けられるようになりました。胃大腸内視鏡、カプセル内視鏡により全消化管の詳細な検査が可能となりました。

超音波内視鏡検査について

超音波検査は普通体表から行いますが、胃や十二指腸の内部から超音波検査を行うのが超音波内視鏡検査です。当院では専用の超音波内視鏡システム以外に、通常の内視鏡を使って出来る細いミニチュアのプローブを取り揃え、症例によって適宜使い分け、最適の検査が出来るようにしています。

EUS-FNA (超音波内視鏡下吸引生検)について

膵臓の腫瘍や消化管の粘膜下腫瘍、周囲のリンパ節腫大などは表面には出てこないため、通常の内視鏡では病理検査ができません。 そのため消化管内に超音波内視鏡という内視鏡と超音波が一体になったものを挿入し、消化管の中から、エコー をみて針を刺し、吸引生検をします。これによって病理診断を行うことにより、今後の的確な治療につなげていきます。本院でも適応疾患につき積極的に検査しています。

肝癌について

肝癌ではいかに小さい内から癌をみつけ治療するかが大切です。当院では腫瘍マーカー、超音波検査、CTを駆使して小さな肝癌を見つけ出す努力をしています。超音波検査、CT検査の場合、いかに高解像度の装置を使用し、専門家が専門的な検査または撮影を行い、その後、その画像を専門的に読むかが重要です。CTについては当院では専門の放射線科の先生がおられ、全例dynamicCTという特別な撮影の仕方を行い、読影もされ、小さい病変を見つけるべく努力されています。

また、超音波造影剤を使用した最先端の造影超音波イメージも出来る腹部超音波の機械を導入し(これは一般の超音波の機械では画質が悪く出来ませんので)、適宜おこなっています。万一、肝癌が見つかれば、小さければ内科的治療が可能でTAE、PEIT、RFA(ラジオ波)治療など全ての治療が可能です。PEITやRFA治療についてはReal-time Virtual Sonographyを導入し、最先端の治療が可能となっています。

令和4年度は23件のRFA治療を行っています。

Real-time Virtual Sonographyについて(RVS)

これは、超音波画像と同一画面のCT再構成画像をリアルタイムに描画するシステムです。現在、肝癌治療はラジオ波治療が中心となってきていますが、肝癌はCTでは検出されるが超音波検査では観察困難な病変も存在します。これに対して、RVSを使用することによりラジオ波治療が安全、確実に行えます。

慢性肝炎治療について

大阪府の肝炎専門医療機関に指定されています。C型慢性肝炎、C型肝硬変については、現在経口2剤加療が中心になっています。従来のインターフェロン治療に比べて、外来での加療が可能なこと、投与期間が2~3ヶ月と短いこと、副作用がほとんどないこと、注射ではなく内服で治療できること、さらに100%近い治癒が得られることにより、現在では経口2剤加療以外は行われなくなりました。 本院でも積極的に外来で施行し良好な成績を得ています。また安心して行うには、多数の患者さんに施行し経験が豊富なことが重要です。

急性疾患治療について

消化管出血(胃潰瘍、食道静脈瘤、大腸出血等)などの急性疾患に常に対応できます。適確な止血術については経験が重要ですが、令和4年度、上部内視鏡的潰瘍止血術を60件行っています。
潰瘍の出血については止血法も従来からのアルコールやHSE、クリップを利用したもの意外にAPC(アルゴンプラズマ凝固)や凝固鉗子を使用する新しい凝固療法もすでに導入しています。それらを駆使して手術しなくてよいように治療を行っています。
食道静脈瘤の出血についてはEOやエトキシスクレロールなどの注入療法、EVLという輪ゴムのようなもので縛る方法、APCを使う方法等すべて可能です。それらを駆使し、内視鏡的治療を充実させています。

総胆管結石治療について

総胆管結石は最近は内視鏡を使って治療しますので手術をせずにすむようになってきました。この時、石を乳頭という所から取り出すのに、乳頭の出口は小さいので内視鏡的に出口を広げる必要があります。この場合、症例によって切開する場合とバルーンを使用して拡張する場合があります。

当院ではもちろんどちらの方法でも出来ますが、切開する場合、問題になるのが乳頭切開後の出血です。当院では出血の合併症が少なくなるようにエンドカットという機械を導入しています。

乳頭拡張後、結石を取り出すのですが、4線バスケット、8線バスケット、砕石バスケット、バルーン等常備し、石の状態によって使い分けが出来るようにしています。

ポリープ治療について

食道、胃および大腸の早期癌を含めた各種ポリープ切除が可能です。この時、切除のためにスネアという道具が必要なのですが、電流の流れ方によってモノポーラとバイポーラのスネアがあります。バイポーラスネアは消化管に深い潰瘍を作らないので穿孔する危険が少ない、使い捨てのため感染の危険がないという特徴があります。ただ、バイポーラスネアはコストが高くまだ導入していない施設も多いと思われます。当院では使い捨てのバイポーラを使用しています。また、可能な限り外来でポリープ治療を行い、負担がかからないようにしています。

早期胃癌、食道癌、大腸癌治療について

早期胃癌、食道癌、大腸癌については条件を満たせば外科的な開腹手術をしなくても内視鏡的に治療する時代となりました。更に、機能温存、術後のQOLの向上の観点より、早期癌では適応を満たせば、できる限り内視鏡による治療が望ましいと思われます。実際、多くの早期胃癌、食道癌、大腸癌に内視鏡的治療の適応があると思われ、胃大腸内視鏡検査の充実による早期癌の発見の増加とともに、その適応となる病変も今後増加していくと思われます。最近の器具や、手技的進歩により、粘膜切開(ESD)による広範囲胃粘膜一括切除、食道粘膜切除、早期大腸癌加療が可能になりました。当院でも積極的にそれらの最先端手技を導入し、早期癌の内視鏡的治療を行っています。