市民病院経営形態の方向性について
市立岸和田市民病院は令和9年度を目標に、地方独立行政法人への移行を目指します。
地方独立行政法人を目指す目的
当院が地方独立行政法人を目指す最大の目的は、当院が公立病院としてこれまで果たしてきたがん診療や救急医療などの医療機能が損なわれることなく、今までどおり将来にわたって持続可能な医療体制を市民の皆さんに提供するためです。
地方独立行政法人を目指す背景
公立病院の多くが、医師・看護師等の不足、人口減少・少子高齢化に伴う医療需要の変化等により、持続可能な経営を確保することが難しくなっているという現状があります。また、令和6年度からの働き方改革により、医師の時間外労働時間が規制され、今までどおりの医療を提供するためにはより多くの医師を採用する必要があります。
当院を取り巻く環境は、今後さらに厳しくなることが見込まれることから、人材採用面などでより迅速で柔軟な経営判断が可能となる地方独立行政法人への移行が最も有効であると考えております。
地方独立行政法人とは
公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事業であって、市が直接に実施する必要のないものの、民間にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを効率的かつ効果的に実施するために、市が100%出資して設立する法人です。
市民病院の地方独立行政法人化についてのQ&A
現在の経営課題の中でも、医師の確保は最重要課題です。医師の働き方改革で医師の勤務時間が制約される中で、医師を確保するためにはより柔軟な勤務体系を設ける必要があります。また、その他の医療職についても、迅速な採用ができていない現状もあります。
これらの課題を解決し、公立病院としてこれまで果たしてきた医療機能が損なわれることなく、将来にわたって、市民に安心・安全な医療の提供が持続できるようにするためには、人材採用面などでより迅速で柔軟な経営判断が可能となる地方独立行政法人への移行が有効です。
市が100%出資して設立する市立病院であり、公立病院であることに変わりはなく、市民に必要な医療の提供するための市立病院であることに変わりはありません。
地方独立行政法人は、民間にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある事業を行わせるために市が100%出資して設立する法人で、その法人が運営する病院となるので、民営化ではありません。また、公設民営として民間病院に運営を任せる指定管理者制度とも異なります。
利益が最優先されるとのご心配については、今までもいわゆる不採算と言われる救急や小児医療等は市が財政負担していましたが、地方独立行政法人になったとしても不採算医療に対する市の財政負担は継続されますので、利益最優先として不採算部門を切り捨てることはありません。
市民の皆さんに提供するサービスに変わりはありません。法人化により職員定数の制約等がなくなり採用の自由度が増し、必要な人材を迅速に採用することができるようになるので、患者ニーズに応じた医療サービスを効率的に提供できるようになります。
診療費は国が定める診療報酬によりますので変わることはありません。その他料金(個室料、診断書作成料等)は法人が作成する中期計画で定めることになりますが、他病院の水準や社会情勢に応じて適切に設定するものですので、地方独立行政法人化を理由に変わるものではありません。
地方独立行政法人による病院運営(市と議会と法人の関係)
- 市長が病院運営責任者である理事長を任命する
- 市が、市として行うべき医療を「中期目標」として作成し、議会が議決する
- 「中期目標」を達成するために、法人が「中期計画」を作成し、議会が議決する
- 「中期目標」と「中期計画」は公表される
- 法人は各年度の「年度計画」を作成する
- 各年度の業績は、病院運営の専門家等で構成される「評価委員会」の評価を受け、議会に報告される
- 「中期目標」の達成が危ぶまれる場合、市は業務運営改善命令により必要な措置を指示する
このように「中期目標」「中期計画」の作成に議会の関与があります。また、市が設置する「評価委員会」の評価を受けることにより、これまで以上に事業の透明性が確保されます。
これまでの経緯
令和4年3月 | 総務省より「公立病院経営強化ガイドライン」公表 |
令和5年6月 | 経営強化プラン検討委員会を発足 経営強化プランで経営形態についても検討することを確認 |
令和5年6月~10月 | 経営強化プラン検討委員会を開催 経営形態については地方独立行政法人が最適との結論に至る |
令和5年12月 | 「市立岸和田市民病院経営鏡強化プラン」のパブリックコメントを実施 パブリックコメントの結果 |
令和6年3月 | 「市立岸和田市民病院経営鏡強化プラン」を作成 検討委員会の結論を踏まえ、地方独立行政法人への移行を具体的に検討する旨を記載 経営強化プラン抜粋 |
令和6年11月 | 政策決定会議で地方独立行政法人を目指すことを決定 |
令和6年12月 | 市議会にて地方独立行政法人への移行の方針を説明 令和7年度から市民病院事務局に法人移行準備課を設置し、令和9年度の移行を目指す |