整形外科
整形外科
整形外科では、骨折はもとより関節痛、腰痛、手足のしびれ、手足の変形といった運動器疾患全般を取り扱っています。飲み薬、外用剤、注射などの保存的治療を近隣の医療機関で受けられても症状が改善しない患者さんに対して手術を中心に治療を行っています。骨折や脱臼などの外傷だけでなく脊椎疾患、関節疾患、関節リウマチ、スポーツ障害に対しリハビリテーション科と協力し早期に運動能力が獲得できるよう低侵襲治療を目指しています。また、各科と協力して術後合併症にすみやかに対応する体制が整えられています。
取扱い疾患
症候分類 | 具体的傷病名 |
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四肢外傷 | 骨折、脱臼、靱帯損傷 |
脊椎疾患 | 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、頚椎症性脊髄症、脊髄損傷 |
関節疾患 | 変形性関節症、リウマチ性関節炎、骨壊死、関節疾患全般 |
炎症性疾患 | 化膿性関節炎、骨髄炎 |
手の外科 | 腱損傷、神経麻痺、変形治癒、機能再建 |
小児整形 | 先天性股関節脱臼、内反足、ペルテス病 |
骨粗鬆症 | 大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨頚部骨折、脊椎圧迫骨折 |
スポーツ整形 | 膝半月板損傷、膝前十字靭帯損傷、膝軟骨損傷(モザイクプラスティー) |
専門外来
関節外来 | |
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担当医師 | 松下 哲尚 |
診察日時 | 水曜日 受付:午前8時から11時 |
医師紹介
氏名 | 補職名 | 認定資格 | 専門分野 |
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松下 哲尚 | 部長 |
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股関節、膝関節 人工関節 |
上田 晃久 | 主任医長 |
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外傷・関節外科 |
岡 尚宏 | 医長 |
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下肢関節 外傷 整形外科一般 |
石原 寿真 | 専攻医 | ||
荻原 哲 | 専攻医 | ||
村上 哲平 | 応援医師 |
|
整形外科疾患全般 |
家村 駿輝 | 応援医師 |
| 脊椎 |
治療実績
主な手術件数
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | ||
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脊椎手術 | 頚椎 | 9 | 7 | 2 | 5 | 1 |
胸椎 | 7 | 5 | 3 | 0 | 0 | |
腰椎 | 25 | 29 | 34 | 10 | 15 | |
人工関節置換術 | 股関節 | 20 | 23 | 23 | 37 | 22 |
膝関節 | 30 | 15 | 28 | 48 | 57 | |
肘関節 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | |
人工骨頭置換術 | 肩関節 | 0 | 0 | 1 | 2 | 4 |
股関節 | 40 | 35 | 51 | 42 | 44 | |
骨接合術 | 上肢 | 74 | 78 | 98 | 82 | 108 |
下肢 | 94 | 96 | 96 | 116 | 119 | |
手外科手術 | 16 | 21 | 32 | 34 | 24 | |
関節外科手術 | 上肢 | 5 | 1 | 3 | 6 | 8 |
下肢 | 10 | 10 | 12 | 23 | 17 | |
腫瘍 | 9 | 2 | 3 | 1 | 8 | |
その他 | 54 | 46 | 41 | 74 | 83 | |
合計(重複あり) | 393 | 369 | 427 | 480 | 511 |
脊椎外科
脊椎外科では頸椎から腰椎までを対象に保存的治療から手術的治療までおこなっています。硬膜外注射や神経根ブロックなどの保存的治療が奏功しない場合には手術を行います。手術に際し、MRI検査、脊髄腔造影検査を術前に行い疼痛や痺れの原因となっている部位の確定、手術方法の決定を行います。手術はできるだけ侵襲の少ない方法を選択しますが、脊椎の病態によってはインプラントによる固定術も行います。
症候分類 | 治療法 |
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腰椎椎間板ヘルニア | 顕微鏡下に約3cmの皮膚切開で髄核摘出術。 |
腰部脊柱管狭窄症 | 1,2椎間の病変は開窓による後方除圧を、多椎間の病変は椎弓切除術を行います。 |
腰椎変性すべり症 | 開窓や椎弓切除術による後方除圧や、不安定のある症例に対してインスツルメンテーションによる金属補強。(図1) |
頚椎症性脊髄症 | 術後、後弯変形の予防のために項靭帯を温存した椎弓拡大形成術。 |
図1.難治性の腰椎外側ヘルニアや腰椎変性すべり症に対する後側方固定術(TLIF)
膝関節や股関節などの変性疾患
膝関節は関節鏡視下半月、靱帯再建、骨軟骨手術から人工関節置換術まで幅広く行っています。特に変形性膝関節症については、若年例では関節温存とし、高位脛骨骨切り術を基本に関節鏡視下半月形成、骨穿孔術を併用します。中高年では関節置換術の適応ですが、最近の人工関節は、医療技術や動作解析の進歩とともに、インプラントの形状、設置位置、機能改善も進化しており、さらに手術したことを忘れる、自然なフィーリングの膝を目標に、神経終末が多く存在する十字靱帯を術前に評価し、温存可能なものは温存するという方針の元、筋を切離しない最小侵襲の単顆型人工関節や、前後十字靱帯温存の全置換術を積極的に行っています。また、中高年に多く、しゃがみ込みやつっかかりなど軽微な外傷を契機に発症し、短期間で変形や骨壊死を生じる内側半月後根断裂や半月逸脱という病態が最近のトピックスで、MRIを撮影しなければ診断がつきません。これについても積極的に鏡視下半月縫合、制動術を行い、場合に応じて高位脛骨骨切り術を併用しています。
股関節は早期機能改善を目標に日常生活動作、骨、筋など症例に応じて筋温存や関節修復のアプローチ、インプラントを選択した人工関節置換術をしています。

変形性膝関節症

高位脛骨骨切り術

単顆型人工膝関節置換術

前十字靭帯・後十字靭帯温存
人工膝関節置換術
関節リウマチ
生物学的製剤の登場により関節リウマチの関節炎はコントロールできる症例も多くなりました。関節リウマチに対しては新しい生物学的製剤による治療にも積極的に取り組んでおり従来の抗リウマチ薬に抵抗性の症例にも対応しています。薬物治療が奏効しない症例や遺残した四肢関節の変形に対しては、QOLの改善のため除痛や変形の矯正の目的で手術を行います。肩関節・肘関節・手関節・膝関節に対し鏡視下滑膜切除術、肘関節・股関節・膝関節に対する人工関節置換術や腱の修復手術や手指、足趾の形成手術を行います。脊椎の病変に対しても手術を行います。(図2)
図2 人工膝関節置換術
図2 人工股間節置換術
スポーツ整形
スポーツ整形については関節鏡を用いて半月板部分切除や縫合術、前十字靭帯再建術や軟骨損傷に対して骨軟骨移植などをおこなっています。 肩腱板損傷、肩関節脱臼に対する修復術、スポーツによる上肢(肩、肘、手)外傷に対する修復術も行っています。
出血が比較的多いことが予想される手術
出血が比較的多いことが予想される手術(下肢人工関節手術や脊椎手術)に対しては入院前に自己血を採取したり術中回収血を使用することにより同種血輸血による副作用を防止します。院内骨バンクを設置しており、人工関節再置換術の巨大骨欠損に対しては同種骨移植で対応しています。また、人工関節置換術などの合併症である血栓性静脈炎予防のために、フットポンプを使用し術前術後には血管エコーによる下肢血管の血栓の有無を調べています。また、最近増加傾向にある高齢者の大腿骨頸部骨折に対しては地域連携パスを導入し治療の標準化をはかっています。
合併症がある患者さんの手術
内科的合併症(呼吸器、心臓、内臓疾患など)や抗凝固剤の服用のため手術が躊躇される場合があります。当院では各科専門医がそろっており、術前に専門医による合併症の評価を依頼し、麻酔科専門医とも連携をとり手術に臨みます(状態によっては手術が困難な場合もあります)。かかりつけ医からの治療内容についての紹介状を持参していただけると助かります。